アイスクリーム

原料の秘密

牛乳と乳製品

アイスクリームの主な原料は、牛乳と乳製品です。クリーム・バターなどの乳製品は乳脂肪分の、脱脂粉乳・脱脂練乳などは無脂乳固形分の供給源になります。両成分に共通するものには、牛乳・加糖練乳・全粉乳などがあります。新鮮な牛乳と乳製品がアイスクリーム独特のおいしさの源となるのです。

乳脂肪分
アイスクリームの風味や組織に大きな影響を与えます。この乳脂肪は、アイスクリームにしっかりしたボディ、なめらかな組織、および、良好な保形性、そして豊かなクリームの風味を与えるもっとも重要な成分です。アイスクリーム特有の口あたりの良さとなめらかな組織にするためには、脂肪球は均一で、大きさは2ミクロン以下の小さなものが良いと言われています。
無脂乳固形分
牛乳の成分の中から脂肪および水を除いた成分の総称で、たん白質・乳糖・ミネラル・ビタミンなどを含んでいます。アイスクリームにコク味を与え、組織をなめらかにして、ボディをつくり上げる働きをします。
●たん白質 たん白質は、アイスクリームミックス中の水分と結び付いて
氷の結晶が大きくなるのを防ぎ組織をなめらかにします。
また、ミックスを泡立てやすくし、生じた気泡を安定させます。
● 乳 糖 乳糖はアイスクリームミックスの凍結温度を下げるので、
氷の結晶が小さくなりやすく、組織がなめらかになります。
乳糖の含有量が多いと乳糖自体が結晶化し、組織を砂状にしてしまいます。
● 無機質 カルシウム・リン・マグネシウムなどの無機質は、たん白質と結合して、
間接的にアイスクリームの組織をなめらかにします。
さらに、糖質の甘みを増し、風味にコクとまろやかさを与えます。
甘味料
甘味料には砂糖・ブドウ糖・果糖・水あめなどがあり、アイスクリームに好ましい甘さを与え、クリームの香りや風味を強める作用があります。さらに、甘味料は、固形分供給源としてアイスクリームの組織をつくるほか、ミックスの凍結温度に影響をおよぼし、組織をなめらかにします。

その他の原料と添加物
ココアおよびチョコレート
ココアは、カカオ豆の質と処理の方法がアイスクリームの風味や品質に影響します。また、チョコレートは、コーティング用・マーブル用・トッピング用など、使用目的で成分が異なりなります。
果汁・果肉
製品の多様化、機械装置の発達により、種々の果汁・果肉が使用できるようになりました。果肉を加える場合は、フルーツフィダーという特殊な機械でアイスクリームに均等に混ぜられます。
鶏卵
鶏卵をつかったのは、カスタード(またはフレンチ)アイスクリームと呼ばれます。風味はまろやかで上品。
全卵粉末や濃縮卵黄などの鶏卵加工品も利用されています。
食用油脂
主に用いられるのは、植物性のヤシ油系のものです。 なお、アイスクリーム類および氷菓の表示に関する公正競争規約では、アイスクリーム類のうちアイスクリームには、乳脂肪以外の脂肪を禁止しています。
安定剤
一般に安定剤と呼ばれているものは、高分子化合物で、組織を滑らかにし、保形性をよくし、空気の混入(オーバラン)をコントロールします。
これらすべてを上手にコントロールするため、ゼラチン・寒天・ペクチンなどを組み合わせて使われます。
乳化剤
牛乳中の脂肪は液体ではなく、細かい粒子の固体が液体の中に浮かんでいる状態です。これが激しい攪拌で壊されたまま凍結すると、脂肪粒子と氷の結晶と細かい空気の泡とからなるアイスクリームの組織が不均一になってしまいます。乳化剤は、このような状態を防ぎます。乳化剤には、卵黄や大豆の中にあるレシチンや、食用油脂が原料のグリセリン脂肪酸エステルやソルビタン脂肪酸エステルなどが使用されます。これらは食品衛生法により、規格が定められています。
香料
アイスクリームにはそれぞれ特有の風味があります。その香りを強めたり改良するために調合香料が使われます。これには水溶性香料がもっとも多く利用されています。
着色料
アイスクリームの自然の色を補ったり、改良するために着色料を使用する場合があります。